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最後の面会人【犬が死んだ朝】

ネコ(猫)ちゃんの癒やし


●今回は【PETomorrow】さまの最新記事のご紹介です。

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最後の面会人

雑種犬ケンちゃんが病院で亡くなった。朝から降っている雨は昼過ぎに霙に変わり、夕方には雪になるという予報だった。最後になると判断した獣医師が飼い主に電話をして、母親と青年が駆けつけたときにはまだ生きていた。「ケン、ケンちゃん、がんばって」必死の声が聞こえていたが、静かになり、獣医師が遺体を白い布で包んで抱き、霊安室に運んだ。飼い主も温もりのある身体をしばらく撫でていたらしい。「お世話になりました」「ご愁傷様です」のやり取りの後、ケンちゃんは病院で葬儀会社のお迎えを待つことになった。

「先生、すみませんが、明日の朝まで病院に置いてもらえますか?お昼ごろに、葬儀会社に運んでください」

母親と一緒に来た青年がそう希望したので、獣医師はケンちゃんの遺体を一日預かることにした。

寒さは一段と厳しくなり、夕方になって、霙から雪に変わった。目の前の雑木林に雪が降り積む。厚木街道を通る自転車のチェーンの音が死体を安置した霊安室に響く。獣医師はケンちゃんが静かに眠れるよう、窓のブラインドをそっと引き下げ、部屋を暗くした。

するとそこへ、帰ったばかりのケンちゃんの母親が入ってきた。帰ったときよりもっと赤く、腫れた目をしていた。

「先生、すみません、これ、ケンちゃんが大好きだったボールとおやつなんです。明日、いっしょに棺に入れてくれませんか?」

そう言いながら紙袋を手渡した。獣医師は快く受け取って、古くなった野球ボールとビスケットをケンちゃんの頭の側に置いた。飼い主が身体を撫でて名残惜しそうにしていたので、気を遣い、

「帰る時、受付に言ってください。時間はいつまででもいいですから、ゆっくりケンちゃんとお別れしてください」

そっと部屋をあけわたした。

しばらくしてケンちゃんのお母さんが帰った。病院の中は相変わらず静かで、いつも薬を取りにくる飼い主が看護婦さんとボソボソ世間話をしている。あたりは暗く、ヒーターを最強に設定しても肌寒い。風で斜めに折れた雪がかすかな音をたてて窓ガラスに貼り付いていた。

窓に貼り付いていた雪が本格的に凍りはじめた頃、若い男性がワゴン車から降りてきた。あたりを気にしながら受付に入ると「ここにケンという犬が入院していると聞きました。面会したいのですが」と青年は静かに獣医師にたずねた。

青年はケンちゃんが亡くなったのを知らずに面会にきたのである。獣医師は驚いたが、「最後はお母さんに看取られて逝きました、寂しくはなかったと思います」と言い訳のように付け加えた。

青年は驚いた様子だったが、ぜひ会いたいと言ったので、獣医師が霊安室に案内した。部屋の中には線香の残り香がごくわずかに漂っている。小さな部屋には犬一頭が死んだ悲しみ以上の、苦しく重い空気が流れた。獣医師はその場にいては青年に悪いような気がして、「ゆっくりケンちゃんとお別れしてください」とドアをそっと閉めた。泣く姿を見られるのは若い男性にとって恥ずかしいことなのではないかと配慮したのだ。

元気な仔犬のケンちゃんが全力で庭を駆け回ったあの日。美味しいご飯を期待して輝いた真っ黒の目。無防備に足を投げ出して安らかに眠っている姿。記憶にある元気な犬の姿を思い出しながら、いま、目の前で白い布に横たわる死体を最後の記憶として封印する。この封印作業があって初めて犬の死を受け入れられるのだ。犬の死体を前に、青年は何を思い出しているのだろうか。獣医師はそんなことを考えていた。


今回は【PETomorrow】さまの記事「最後の面会人【犬が死んだ朝】」をご紹介しました。
楽しく癒やされる記事が盛り沢山です(^.^)

この記事の紹介元:最後の面会人【犬が死んだ朝】


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